高齢になると体力や気力、認知力は徐々に衰え、片付けが難しくなるものです。久しぶりの帰省で実家の状態に驚いたり、急な入院や介護で慌てるケースも増えています。
いわゆる生前整理を行った人の多くは、親が元気なうちに実家の片付けを始めることを推奨しています。
今回は実家の片付けをスムーズに進めるコツを紹介します。
実家の片付けは早めに始めた方が良い理由
実家の片付けは親が元気なうちに始めたほうがよい理由がいくつかあります。
ここではその中から3つを解説します。
時間の余裕が心の余裕に繋がる
実家の片づけは始めるタイミングによって、生前整理と遺品整理に大別されますが、時期が遅くなるほど家族の労力や費用の負担が増します。
生前整理でも元気なうちに行う場合と、体力や認知力が衰えてから始めるのでは、時間や心の余裕に大きな差が出ます。
近年では終活が広く浸透し、誰にでも訪れる老化や死に備えて元気なうちに準備しておくことの大切さが認識され始めました。
親が元気なうちに始めることで、時間の猶予もでき、心の余裕も生まれます。余裕を持って取り組むことでお互いの負担を減らせ、高齢の親が安心・安全に暮らせる環境を確保してあげられるなど、たくさんのメリットが得られます。
片付いている家は健康に良い
片付いていない家では、ものにつまづいて転倒するリスク、高く積まれた荷物が落下してケガをするリスクが高まります。
掃除もしにくいため、埃や湿気が溜まったり、ダニなどの害虫が発生しやすくなります。
片付いているほど少ない時間と労力で掃除がしやすいため、家を清潔に保てるとともに、心身ともに健康な暮らしを送れます。
また、介護やバリアフリー化が必要になったときにも、片付いていたほうが対応しやすく大きなメリットとなります。
本当に大切なものに気づく
親が元気なうちに一緒に片付けに取り組むことで、本当に大切なものに気づくこともあります。
高齢になりものを捨てられないのは、生きた時代の価値観もありますが、長い人生の中で得た思い出がたくさんあるからでしょう。
親子でしっかりコミュニケ―ションをとりながら片付けを進めることで、過去に整理をつけ、未来に向けた本当に大切なものを見つけることにつながります。
実家の片づけをスムーズに進めるコツ
実家の片付けはやみくもに進めてしまうと、親の反発や子どもの負担感の増大など、かえって問題を深めてしまうこともあります。
ここでは生前整理を実践した人やブログなどで紹介されている、実家の片付けをスムーズに進めるコツを紹介します。
価値観に寄り添う
実家の片付けでは、親世代と子世代の価値観のギャップが問題になりがちです。
親世代の多くは戦後復興期や、オイルショック後の物不足の時代を経験しています。そのため「もったいない」「使えるものは捨てない」という価値観を持っています。
また高度成長期で経済が豊かな時代も経験し、大きくて立派な家具を揃えたり高価な贈答品を贈りあうこともしています。
実家にはその思い入れのある品々がたくさんあることでしょう。
子世代から見ると古くて価値のないものでも、親世代にとっては思い入れが強く、家族の思い出やストーリーが詰まっています。親が生きた時代の背景や価値観を否定せず、寄り添いながら、これからの暮らしに合わせていく手伝いをしましょう。
一気にやろうとしない
実家に通いながら片付けを手伝う子世代にとっては、少しでも早く片付けを終わらせたい気持ちになるものです。
しかし、親には親の生活ペースがあるため、子世代が実家の片付けを一気にやろうとすると、急に介入されたような気持ちになって、心を閉ざしてしまいかねません。
親の実家の片付けは、あくまで親が主役で子どもはサポーターです。親のペースを尊重しながら、焦らずに進めましょう。
また、焦って一気にいろいろな場所に手を付けても、ものの容量があふれてしまった実家では成果が見えず、挫折しがちです。
成功のコツは、一気に取り組もうとせず、優先順位を付けて一か所ずつ取り組むこと。小さくてもきれいになった喜びや達成感を親と一緒に味わえると、片付けにはずみがつきます。
大切なものは一か所に集めておく
実家の片付けで最もよく聞かれる問題は、大切なものがあちこちに紛れて見つからないということ。
入院や介護が必要になったとき、手続きに必要な重要書類や印鑑類が見つからず、慌てるケースもよくあります。
親が元気なうちに生前整理を始められる場合は、まずこれらの大切なものを一か所に集めておくのがコツです。親の認知力が低下してきてから始める場合や遺品整理の場合は、重要なものが出てきたら集めておく場所を確保し、一緒に取り組む兄弟姉妹とも共有しておきましょう。
貴重品や写真など、親が大切にしているものや捨ててほしくないもの、判断に迷うものも一か所に集めておきましょう。
判断を焦って捨ててしまうと、後悔してしまうこともあります。明らかな不用品の片付けが終わってから、気持ちが落ち着いた状態で判断しましょう。
この先の人生をイメージしながら片付ける
目的が不明確な片付けはモチベーションがわきにくく、ものであふれた部屋を目の前にするとゴールが見えずに挫折してしまいがちです。
片付けた後にどんな暮らしが待っているのか、イメージを描いておくと断捨離や片付けも進みやすくなります。
この先の人生も心身とも豊かに暮らすことが片付けの目的であることを伝えておきましょう。
実家の片付けやすい場所3選
どこから手を付けていいか迷ってしまう実家の片付け。
その中でも片付けやすい場所とその理由について紹介します。
キッチン/食器棚
キッチンと食器棚は、賞味期限切れや劣化したもの、使う機会がなくなったものなどが多い場所です。親を説得しやすいため、比較的取り組みやすい場所といえます。
子どもが取り出して親が残す・残さないを判断するというように、役割分担で進めるのがおすすめです。サポートによって親が疲れにくく、片付いていくのを実感してもらえます。
残すものは種類ごとに整理して収納します。清潔で使いやすいキッチン・食器棚を実感してもらえると、親もその後の片付けを受け入れやすくなるでしょう。
クローゼット/下駄箱
重くて危険なものが少なく、判断の基準を決めやすい洋服や靴などは、親だけでも取り組みやすい場所です。
劣化や傷みがあるもの、着る機会がなくなったものを減らすだけでも、かさばるクローゼットや下駄箱がすっきりするのを実感できます。
「似合う服や靴が取り出しやすくなったね」と声をかけてあげましょう。
物置/押し入れ
物置や押入れの中には、季節の道具や家電などとともに、明らかに不要なものや置き場所に困ったものが入っていることが多いです。
また、押入れの奥や高い位置から取り出すのが困難になり、そのまま経年劣化したものも多いため、不要と判断できるものも多いでしょう。
ただし思い出の品などが出てきた場合には、判断を急がず別の日を設けることでスムーズに片付けが進むでしょう。
捨てるのではなく手放す
もったいない世代の親は、「捨てる」という言葉や行為自体に拒否反応を示す場合もあります。
高かったものや思い入れのあるものは特に、説得が難しいでしょう。
そのような場合は「捨てる」ではなく、「手放して、必要な人に使ってもらう」と選択肢を広げることで、気持ちを和らげることができます。
実は実家の片付けで出てくるものの中には、古くても質が高く高価なものもたくさんあります。価値あるものは寄付やリサイクルも可能です。
- 古くても価値の高いもの
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- ブランド品
- ブランド食器
- オーディオ類
- 楽器
- カメラ
- 無線機
- 鉄道模型
- 記念硬貨や切手
上記に限らず、意外なものが価値が高いことがあります。
迷ったらプロの買取店に依頼するのがおすすめです。出張買取できる業者なら、物の量が多い場合や、重たい家具も自宅で査定してもらえるので、積極的に活用しましょう。
まとめ
親が高齢になると気になるのが実家の片付けです。実家の片付けは、可能なら親が元気なうちに生前整理として行うのがおすすめです。しかし、片付けに対する親との価値観の違いやあふれたものを前に、どこから手を付けていいか迷っている人も多いでしょう。
今回は実際に行った人たちも推奨している生前整理を効率的でスムーズに行うコツ、片付けを始めやすい場所3選、捨てずに手放すコツなどを紹介しました。
記事を参考に、親子や関係者でコミュニケ―ションをとりながら、取り組んでみてください。