近年、音楽業界のデジタル化が進み、サブスクリプションサービスなどで手軽に音楽を楽しめるようになりました。
しかし、音楽のデジタル化が進んだ現代において、アナログでノスタルジックな雰囲気のあるレコードを再評価する動きが高まっており、あえてレコードで曲を販売するケースもみられます。需要の拡大に合わせて、レコードの買取相場も上昇している傾向にあり、家の片隅に放置されたままのレコードが思わぬ高額買取につながるかもしれません。
そこで今回は、中古レコードを高く売るための方法や買取相場、悪徳業者に引っかからないためのポイントなどを解説します。「もう聴かなくなったレコードの処分方法がわからない……」という方は、ぜひ最後までご覧ください。
古いレコードは処分するより買取がお得!
日本のアナログレコードの生産額は41年前の1980年がピークで1,812億円でしたが、その後、音楽はCDや音楽配信サービスなどで聴くのが主流となった影響により、2010年にはレコードの生産額が1億7,000万円にまで落ち込みました。
しかし、アナログならではの温かみやノスタルジックさ、不便なのが良いといった声が高まり、レコード人気が再燃しています。実際に2020年のレコードの国内生産額は21億1,700万円に達し、2010年から2020年の10年で約12倍にまで生産額が増えているのです。【参考:NHK「“底なし”のレコード需要 ~人気再燃のなぜ?~」】
このようなレコード需要の高まりにより、中古レコードの市場も活性化しています。さらに、日本の中古レコードは世界からも需要が高まっているため、1枚数十万円という高値で買い取られた例も少なくありません。
家に置きっぱなしになっているレコードが思わぬ金額で買い取ってもらえる可能性もあり、古いレコードを手放したいと考えている方は、ゴミとして処分するよりも買取がおすすめです。
中古レコードを持ち込むときの店選びの基準
中古レコードを査定に出すときは、 店舗選びが重要なポイントとなります。査定を受ける店舗によって買取金額が変わるため、高値で買い取ってもらうためにもポイントを押さえて店舗選びを進めましょう。
ここでは、中古レコードを持ち込むときに押さえておきたい店舗選びのポイントを解説します。
買取実績がある店を選ぶ
まずは、中古レコードの買取実績が豊富な買取店を選びましょう。
中古レコードの買取実績が豊富であるということは、 満足できる買取金額を提示している、 他店よりも高い査定金額を提示できるといった理由で利用者が増え、買取実績が多くなっていると予想されます。
買取実績が豊富であるということは、利用者にとって何らかのメリットがある可能性が高いため、中古レコードの買取実績に注目してみましょう。
手数料が安い店を選ぶ
買取店を選ぶときは、どのような手数料がかかるのかについても注目してみましょう。
買取における手数料とは、査定料や買取手数料のほか、出張買取にかかる出張費、宅配買取でかかる送料や返送料などが挙げられます。 店舗によっては、手数料や送料などを無料にしているところもあるため、いくらの手数料がかかるのかは店舗によって差が大きいと言えます。
査定額が高くても、手数料が高いと最終的にあまり利益が残らない可能性があるため、手数料を考慮して最終的にいくらの利益になるのか意識してみましょう。
良い口コミが多い店を選ぶ
買取店を選ぶときは、口コミサイトやSNSなどをチェックし、店舗の評判を確認するのもおすすめです。
口コミやSNSでの評価が高い店舗は、満足度の高いサービスを提供していると判断できる一方、悪い口コミばかりの店舗は、トラブルになるリスクが高いと判断できます。ただし、数件しか口コミがなく、点数が高いように見えるケースもあるため、件数や投稿内容についても注目してみましょう。
投稿件数が多く、悪い口コミが少ない店舗は良質なサービスを提供していると期待できます。
査定士がいる店はより信頼度が高い
査定士が在籍している店舗を利用するのもおすすめです。
査定士とは、レコードに関する専門知識を生かして適正な価値を査定できるスキルがある人のことで、 相場とかけ離れた金額を提示されるリスクを軽減できます。とくに、多くのジャンル、幅広い年代に対応できる査定士が在籍している店舗は、安心して査定を任せられるでしょう。
一方、査定士のいない店舗では、本来の価値よりも低い査定金額を提示されることも珍しくありません。損をしないためにも、査定士のいる店舗から優先的に査定を受けてみるのがおすすめです。
中古レコードを高く売るためのポイント
せっかくレコードを手放すなら、できるだけ高く売りたいと考えるものでしょう。
ここでは、中古レコードを高く売るためのポイントを解説します。
レコードに傷がついていない
当然ですが、中古レコードの保存状態によって価値が変わります。
レコードに傷が付いておらず、 保存状態がよいものは高額査定が期待できます。一方、ジャケットにカビが生えていたり、日焼けして色あせたりしているものは大きく価値が下がります。
また、レコードは音楽を聴くためのものなので、破損や劣化などが激しく聴けないものは査定対象外となるので注意しましょう。
帯やライナーが付いている
レコードは帯やライナー、インナースリーブなどの付属品がそろっていると高額買取が期待できます。
発売されたときの状態に近く、付属品がそろっているほうが価値が高いと判断されるため、付属品があるなら探して一緒に査定に出すようにしましょう。
高く売れやすいジャンルがある
ひとえにレコードの買取といってもさまざまなジャンルがあり、なかでも 「洋楽ロック」は最も高額買取が期待できるジャンルです。
というのも、洋楽ロックはレコード全盛期に人気を博したアーティストが数多くいるからです。たとえば、1950〜1970年代の有名ロックバンドでは、ビートルズやエルヴィス・プレスリーをはじめ、ローリング・ストーンズ、レッド・ツェッペリンなどが有名で、さらに1990年代以降も人気のロックバンドがたくさんいます。
人気アーティストの数が多く、レコードの種類も豊富であるため、「洋楽ロックのレコード=高値が付きやすい」という構図ができています。
さらに、洋楽ロックに続いて、 ジャズや和ジャズ、邦楽ロックなども高値が付きやすいとされているので、該当するジャンルのレコードを持っている場合は高額買取が期待できる可能性があります。
レコードについて
レコードはサイズや材質の違いによって種類が分けられています。さらに、ジャンルによる違いもあるため、ここではレコードの種類やジャンルについて見ていきましょう。
レコードの種類
レコードは収録時間やサイズによって、以下の5種類に分けられます。
種類 | サイズ(直径) | 回転数 | 片面収録時間 |
---|---|---|---|
7インチシングル盤 | 7インチ(17cm) | 45回転 | 約5分 |
12インチシングル盤 | 12インチ(30cm) | 33 1/3回転・45回転 | 約6~9分 |
SP盤 | 10・12インチ(25・30cm) | 78回転 | 約4~5分 |
LP盤 | 12インチ(30cm) | 33 1/3回転 | 約30分 |
EP盤 | 7インチ(17cm) | 45回転 | 約7~8分 |
それぞれの特徴を順に見ていきましょう。
まず、7インチシングル盤は片面の収録時間が約5分ほどであり、シングルという名前が付いているとおりシングル曲を収録するために使われるものです。12インチシングル盤もシングル曲を収録するために使われることが多いですが、 盤面が大きいため音質に優れており、収録可能な時間が7インチシングル盤よりも長いことが特徴です。
次に、SP盤は最も古いタイプのレコードの種類ですが、1963年に生産が終了しているため出会う機会はあまりないタイプです。シェラックという材質でできており、落としただけで割れてしまうこともあるので、取り扱いに注意が必要となります。
LP盤は「long play(ロングプレイ)」の略で、CDでいうアルバムにあたる長時間収録が可能なレコードです。EP盤に比べると少し音質が劣りますが、 長時間収録ができることから、主流のレコード盤となっています。
最後に、EP盤はCDでいうシングルにあたるもので、 収録時間がLP盤よりは短いものの、 7インチシングル盤よりは長いことが特徴です。
なお、レコードは材質による違いもあります。
素材 | 特徴 |
---|---|
ビニール盤 | 現在流通しているレコードの大半は、塩化ビニール素材を使ったビニール盤(ヴァイナル盤)であり、SP盤に使われていたシェラックという素材よりも耐久性が高く、音質がよいことから普及しました。 |
ソノシート | ビニール盤よりも音質が劣るものの、大量生産・薄型化できることなどから、雑誌の付録などに付くレコードに使用されていた素材です。 |
ピクチャー盤 | 盤面に写真やイラスト、画像などを印刷した紙を挟んだレコードであり、音質はビニール盤より劣るものの、特別感を演出するためにプレミアム盤などに使用される素材です。 |
レコードのジャンル
音楽のジャンルはあいまいでむずかしく、演奏する人や聴く人によって解釈が異なるため、簡単にアーティストや曲をジャンル分けすることはできません。CDショップやレコード会社が分類しているのは、あくまで企業や店舗が独自に解釈して決めたものです。
そして、リズムや使用されている楽器、歌詞、パフォーマンスなど複数の要素が音楽のジャンルに影響しますが、 音楽のジャンルは常に変化し続けているため1,000以上あるとされています。
ここでは、高額買取が期待できるレコードの代表的な音楽ジャンルをピックアップして紹介します。
洋楽ロック
先に解説したとおり、洋楽ロックは高額買取が期待できるジャンルです。レコード全盛期にあたる1950〜1980年代に人気を博した洋楽ロックバンドが多く存在することに加え、1990年代以降も人気のロックバンドが次々と誕生した背景があり、人気のレコードが種類豊富に存在していることが理由です。
数万円〜数十万円で買取が成立したケースもあり、高額買取が期待できる音楽ジャンルといえるでしょう。
ジャズ
洋楽ロックほど人気のレコード数は多くないものの、世界中にコレクターがいるジャズも高額買取が期待できる音楽ジャンルの一つです。
ジャズが中古市場でも人気であるのは、ジャズ専門のレコード会社であるブルーノート( Blue Note)が1939年にニューヨークで誕生し、ジャズ・サウンド、アートワーク・デザインすべてがそろった最高のレコードを世に送り出したことが理由です。
音質にとことんこだわるジャズコレクターの間で、ブルーノートのレコードが絶大な人気を博しています。
和ジャズ
邦人ジャズミュージシャンが演奏するジャズを「和ジャズ」と呼び、とくにthree blind miceというレーベルのレコードが近年海外で再評価されています。
three blind miceのレコードなら、どのようなタイトルであっても高く売れる状態となっており、日本版のブルーノートのような存在となっています。ただ、和ジャズは売れるタイトルと売れないタイトルの差が大きく、和ジャズであるからといって高額買取が期待できるわけではないので注意しましょう。
このほか、邦楽ロックやクラシック、歌謡曲などのレコードも高額買取が期待できるタイトルがあります。
平均的なレコードの相場
使わないまま放置しているレコードを買取に出したいと考えていても、「大体いくらで売れるの?」「本当に買い取ってもらえるの?」と買取相場が気になる方も多いでしょう。
そこで、邦楽・洋楽のレコードの買取相場を解説します。
邦楽レコードの買取相場
中森明菜のレコードは、数千円~数万円で買い取られているものが多く、松田聖子のレコードは数千円の買取実績が多い傾向にあります。なかでも、コンサート限定版などのプレミアが付いているものは、高額買取が期待できるでしょう。
一方、歌謡曲や演歌は、タイトルによって高額買取が期待できるものの、数百円ほどしか金額がつかないものもあります。ただ、市場に100枚しか出回っていないとされる山下達郎の「ADD SOME MUSIC オリジナル盤」は、43万2,000円で買取が成立したケースがあり、生産枚数が少なく、需要が高い、状態がよいといった条件がそろえば思わぬ高額買取につながることもあります。
洋楽レコードの買取相場
1960〜1970年代に大人気となったビートルズのレコードは、現在でも根強い人気があり、販売枚数の多いレコードでも2〜5万円の買取価格が多い傾向にあります。また、初期ジャケット版で販売前に回収された「Yesterday And Today」は、ほとんど市場に出回っていないことから、数百万円で買取された実績があります。
クイーンのレコードは数千円~5万円程度、レッドツェッペリンのレコードは数万円~数十万円の買取価格が多い傾向にあるほか、コアなファンが多いハードロックやヘビィメタルは数千円~1万円程度の買取が期待できるでしょう。
悪徳業者に注意
価値のあるレコードは、ゴミとして捨ててしまうのがもったいないため、買取に出して手放したいと考えている方も多いでしょう。
しかし、レコードの買取を行っている業者のなかには、いわゆる「悪徳業者」も存在するため、だまされないようにすることが大切です。
ここでは、悪徳業者である可能性が高いレコード買取業者の特徴を解説します。
身分を明かさない、店舗を持っていない
買取業務をおこなう業者は、必ず公安委員会から 古物営業許可を受けたうえで業務を行います。
そして、催事場への出店や顧客の家など、店舗以外の場所で「買取業務」をおこなう場合は、必ず古物営業許可に準じる「 行商従事者証」を携行するよう法律で定められています。訪問営業などで買取を提案された場合は、必ず行商従事者証の提示を求めるようにしましょう。
店舗以外の場所で買取業務をおこなうときに行商従事者証を携帯していない場合、罰則の対象となります。信頼できる業者なら必ず持っているはずであり、「今日は忘れてしまった」「見せる必要がない」などの言い訳をするのは許可なく営業している悪徳業者である可能性が高いといえます。
買取業者の「押し買い」に注意
事前のアポイントなしに突然自宅を訪問したり、電話をかけたりして、十分な説明がなく、顧客が納得していない状態で貴金属を買い取る行為を「押し買い」と言います。
「使っていない靴やバッグ、財布はありませんか?」
「不用品を査定させていただきます」
などと電話してくるケースが代表的で、査定を依頼すると本来売る予定のなかった貴金属を言葉巧みに低価格で買取されてしまうのです。
押し買いの目的は靴や衣料品ではなく、「貴金属」です。貴金属は相場が安定しており、安く買い叩いて中古市場に売りに出せば多額の利益を得られるからであり、不用品を回収してもらえると安易に対応してしまうと、後悔することになります。
突然の電話や訪問による査定は対応しない、はっきりと断るといった対応を徹底し、押し買いの被害を受けないよう注意しましょう。
査定料金が大きく異なる「買い叩き」に注意
買い叩きとは、本来の相場よりも大幅に安く買取を成立させる行為です。
レコードに限らず、貴金属やブランド品などでも行われやすい手口であり、できるだけ安く買い取って、中古市場で高値で売りに出すことで、買取業者だけが儲かる仕組みとなっています。
買い叩きは依頼者の知識不足を利用して行われるケースが多いため、 あらかじめ相場を把握しておくことが有効な対策となります。また、複数の買取業者の査定を受けて、現実的な相場を把握しておくと、買い叩きに遭うリスクを軽減できるでしょう。
キャンセル時に傷がついて返ってくる場合がある
何らかの理由で買取を拒否した際、品物が傷ついた状態で返却されるのも、よくある悪徳業者の例です。
品物の扱いや管理体制がずさんであり、業者が傷つけたものであっても責任を逃れようとしたり、連絡が取れなくなったりするケースがみられます。
信頼できる業者を選ぶことが大切ですが、万が一、悪徳業者とトラブルになって自己解決できない場合は、 国民生活センターなどに相談しましょう。
レコードの買取はアシストがおすすめ!
「聴かないレコードの処分に困っている」という方は、「アシスト」に買取を依頼するのがおすすめです。
ゴミとして処分するのも選択肢の一つですが、レコードの種類や状態によっては、数万円を超える高額買取につながる可能性があります。
なお、アシストでは、家具・家電をはじめとするさまざまな不用品の買取を実施しており、レコードやレコード機器の買取も実施しています。レコードに限らず、さまざまな不用品回収に対応しているため、引っ越しや模様替えなどで不用品が大量に出てしまった場合も、一括で査定を受けられます。
また、アシストは店頭買取のほか、出張買取や宅配買取など、 依頼者のニーズに合わせた買取方法を用意しています。実際に高額買取が実現した例も多くあるので、一度アシストの査定を受けてみるのがおすすめです。
まとめ
今回は、中古レコードを買取に出すときの店舗選びの基準や高く売るためのポイントなどを解説しました。
最後に今回の記事をおさらいしておきましょう。
- 中古レコードを持ち込むときの店選びの基準
-
- 買取実績がある店を選ぶ
- 手数料が安い店を選ぶ
- 良い口コミが多い店を選ぶ
- 査定士がいる店はより信頼度が高い
- 中古レコードを高く売るためのポイント
-
- レコードに傷がついていない
- 帯やライナーが付いている
- 高く売れやすいジャンルがある
- 悪徳業者に注意
-
- 身分を明かさない、店舗を持っていない
- 買取業者の「押し買い」に注意
- 査定料金が大きく異なる「買い叩き」に注意
- キャンセル時に傷がついて返ってくる場合がある
近年レコードは人気が高まっており、状態やタイトルによっては思わぬ高額買取につながるケースもあるため、一度買取査定を受けてみるのがおすすめです。
ぜひ今回の記事を参考に、自宅にあるレコードの最適な売り方を検討してみてください。